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大道 英樹; 荒木 邦夫
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 14(11), p.2773 - 2783, 1976/11
第四開発室で行なっているスラリー状態での放射線グラフト重合に関連して、溶媒中でのグラフト重合の速度論的考察を行なった。ポリマーとしてはグラフト鎖を単離することができるポリイソブチレンオキサイドを選び、電子線で前照射してスチレンをグラフトした。グラフト率,グラフト鎖の分子量共、スチレン単独で一番大きく、次いでスチレン・メタノール系、スチレン・ベンゼン系であった。この順序はポリマー中のスチレン量だけでは説明できなかったので、速度論的考察により各素反応の速度定数を求め、三つの系についてそれらを比較した。その結果、開始速度,成長速度定数には溶媒による差が顕著でなかったのに対し、グラフト率,グラフト鎖分子量がともに小さくなるスチレン・ベンゼン系では停止反応速度定数が他の系に比べて極端に小さくなっていることがわかった。またスチレンの単独重合と比較するとkp/ktの値が10~10倍になっており、グラフト重合では生長鎖の動きが抑えられていた。